こちらのお話の続きです。
モン・サン・ミッシェルに到着!

天気は曇り時々小雨。気温は20度に届かないくらいで、少しひんやりとした一日でした。雨対策でレインコートを買ったので、着てきて大正解でした。
桟橋を歩きながら、遠いようで近いモン・サン・ミッシェルをパシャリ。いよいよ中に入れると思うと、胸が高鳴ります。
この時はちょうど干潮気味で、“海に浮かぶモン・サン・ミッシェル”とはいきませんでしたが、それでも目の前にそびえる姿はまさにラスボス級の存在感。圧倒されるようなスケールに感動しました。


フランス国旗がはためいているだけで、一気に雰囲気が締まってカッコいい。入口に着くと、左手には1〜2ユーロの有料トイレ。そして右側に見える石造りのアーチ状の門をくぐった瞬間——いよいよ“モン・サン・ミッシェルの世界”に突入、という感じでテンションが一気に上がる。

石造りの建物にぐるりと囲まれた空間は、まるで小さな要塞の中に足を踏み入れたよう。その独特の世界観は、現実とファンタジーの境目がふっと曖昧になる不思議な魅力があって、まさにジブリのワンシーンに迷い込んだ気分。あたりを見渡した瞬間、「あ、これ江の島とは次元が違うやつだ…」とすぐに実感しました(笑)

お昼ごはん探し
修道院の入場時間が14:00〜だったため、まずはお昼ご飯を食べることに。赤い壁のお店はオムレツで有名な『ラ メール プラール』。外観写真を撮る観光客が多かったです。

私たちは知り合いに聞いていたおすすめのガレット屋さん『ラ・シレーヌ・ロシェ(La Sirène Lochet)に向かいましたが、まさかの定休日😱。
(そして2025年11月現在、臨時休業となっていました。)

早くもランチ難民となった私たち。平日にも関わらず、モン・サン・ミッシェルは混雑しています(道が狭いのもある)。ちょうどランチタイムでお店も満席ばかり。しかもフランスでは「並んで待つ」文化があまりないようで、満席=あきらめて次へ、という流れに驚きました。
坂道を登る途中で、テイクアウトできそうなお店を発見。そこでクレープ、フィッシュ&チップス、バゲットを購入し、脇道で食べている人たちに混じってランチタイムをとることにしました。


これが思いのほか美味しくて!特にフィッシュ&チップスは子どもたちも夢中で食べていました。おそらく子どもたちが今回のフランスで食べて、一番おいしかったのはこのフィッシュ&チップスだったと思います。笑
お腹も満たされたので、坂の上のお土産屋さんを見つつ、修道院へ向かいました。修道院入口に着くと長男から衝撃の一言。
『トイレいきたい』
まだ修道院へ入れるまで時間があったこと、修道院内にトイレがあるかわからなかったので(無料トイレがあった)、確実にあったモン・サン・ミッシェル入り口まで戻ることに(´;ω;`)

途中、無料トイレもありましたが、扉が閉まってても臭いが酷く、便座も無いトイレだったので、長男は拒否。まあ、、そうだよね、と入り口まで戻りました。
修道院へ、いざ入場!
トイレのために坂を下ったので、修道院に向けてまた同じ坂を登ります。次男は常に抱っこ、長男もつられて「ぼくも…」と抱っこ要求が始まり⋯。結果、大人だけ“謎の坂道トレーニング”状態で、体力ゲージはほぼゼロになりました。笑



修道院の入口までは、とにかく階段の多い!登るたびに息が上がって、気分はまさに「ハウルの動く城」の荒地の魔女。あの名シーンのように、フゥーと呼吸を整えて前進…まさかここまでハードとは(笑)。

なんとか登り切ると14時を過ぎた頃で、バウチャーを見せて修道院の中へ。さらに階段が続きますーー。

↑ずっと抱っこで移動していた次男が、ついに自分の足で修道院の階段を登ってくれた瞬間。笑

西暦708年頃から1300年以上も立ち続けてきた修道院は、私にとってすごく不思議な存在でした。無機質で黙っているようなのに、私たちよりもずっと多くの時代や人間を見てきた「達観した何か」を感じているようにも思えて。圧倒もされるけど、初めての場所なのに安心感も感じる。
そして、建物全体が天空の城ラピュタのようで、どこを見てもファンタジーの世界に迷い込んだみたいでした。それにしても、なぜ708年頃にここまでの構造物を建てられたのか、本気で謎。どうやって石を積んで、どうやってこの高さまで形にしたのか、想像しても全く追いつかない。千年以上も崩れずに耐えてきた技術力って、もう魔法に近いレベルだと思う。



修道院内部は天井が高く光が優しく差し込みます。この日は雲が多かったのでやや暗く、神聖、荘厳な雰囲気。まるで時が止まっているよう。





1546年に作られたという古いレリーフもありました。


解説によると、昔の絵や彫刻では誰が誰だか分かるように、決まったシンボルと一緒に描くルールがあったそうです。この「4人の福音書記者」にもそれぞれのシンボルが描かれています。
- 聖マルコ = ライオン 🦁
- 聖ヨハネ = 鷲(ワシ) 🦅
- 聖ルカ = 牛 🐂
- 聖マタイ = 天使 👼
かつては聖歌隊席の仕切りに使われていたというこの石灰岩の彫刻。500年前にこれを彫った職人さんも、この動物たちを一生懸命彫り込んだのかなと思うと、なんだか歴史を身近に感じられました。



修道院の中を進んでいくと、SNSでよく見る光景に出会えました。石造りの回廊がぐるりと四角に並び、その中心には静かな中庭。「ほんとに人の手で作ったの…?」と言いたくなる美しいアーチ。13世紀にパソコンや重機なんてあるわけもなく、設計も測量も手作業なのに、なぜこの建物を作ることが出来たのか。未来人がタイムスリップして作ったんじゃないか、と疑ってしまうほどに美しい。
写真映えスポットというより、心を静かにさせる「聖域」ということで、心穏やかに過ごすよう意識しました。



モン・サン・ミッシェルの過去から現在に至る変移を示した模型もありました。歴史の流れとともに修道院や周辺がどのように変化していったのかを知ることができます。
建物内を見ていると、雨は本降りに。帰りのバスは17時出発と時間もあったので、屋内を中心にゆっくり観光を続けました。
島を降りて、おみやげタイム
修道院を出てからは、おみやげ屋さんを少し散策。子ども用のTシャツを記念に購入しました。家族全員もう疲労のピーク。TGV+バス移動に加えて島内の階段、抱っこ続きのトレーニング。荷物を増やす余裕もなく、最小限の買い物だけにしました。
帰りのバスとTGV
16:20頃にレンヌ駅行シャトルバスのバス停に着きましたが、雨が強かったので近くの待合スペースで待機させてもらいました。出発15分前にバスが到着し、早めに乗車をしました。バス出発後すぐに全員爆睡、気づいたらレンヌ駅に到着していました。

18:05レンヌ着、18:35発のTGVでパリへ戻ります。夕食はレンヌ駅で買ったパンを車内で食べました。子どもたちはモンパルナス駅に着くまでずっと夢の中。朝早くからの移動とモン・サン・ミッシェルで沢山歩いたので、とっても疲れたことでしょう。20:17予定通りモンパルナス駅に到着しました。
この日はパリの地下鉄が一部ストライキで遅延したり止まったりしていましたが、TGVは影響なしでした。時間通りに帰ってこれて本当にほっとしましたが、やはり海外では「ストライキ」「遅延」「乗り継ぎトラブル」などの不安はつきもの。今回は運良く順調でしたが、もしバスが遅れていたらTGVに乗り遅れていたかもしれません。実際に行ってみて思ったのは、パリ発着のモン・サン・ミッシェル日帰りバスツアーの安心感はやっぱり最強、ということ。 交通の手配を全部おまかせできて、現地での観光もスムーズ。語学に自身のない方や初めての海外旅行ならバスツアーを選ぶ方が賢明かもしれません。
夜のホテルで起きたハプニング
ホテルに戻り、ほっと胸をなでおろしました…が、このあとまさかの事件が。
ホテルに戻り、シャワーを浴びて寝る準備。その瞬間——
大音量の警報音が響き渡りました!火災報知器のサイレンかな?誤報かな?と様子をみていましたが、鳴り止まない音にどんどん不安になります。
廊下を確認すると、いつも開いている簡易ドアが閉まり、他の宿泊客も戸惑った様子。日本なら「大丈夫ですかね?」とコミュニケーションを取るけど、ここは海外、フランス。日本人どころかアジア人の姿はなく話せない。
「まさか本当の火事?それとも…テロの可能性すらある…?」と頭をよぎります。と、その時。スタッフらしき男性が尋常じゃない顔つきで廊下を全力疾走!!
もう恐怖しかない!
煙は見えないけれど、何が起きているかわからない。とりあえず、1人以外が逃げる姿はなかったので、走ってきた方向でトラブルが起きていることはないと判断。上着を羽織り、靴を履き、家族で1階へ避難することに。保育園での月イチ避難訓練の成果が出て、子どもたちも素早く行動(えらい!)。
非常階段を降りようと扉を開けると、下の階から宿泊客が沢山登ってきます。私たちと目があった男性が英語で「心配ないよ」のようなことを教えてくれました(たぶん)。結局その後も原因は分からずじまいでしたが、部屋に戻ってすぐ寝ることに。子どもたちも疲れと恐怖ですぐに眠りにつきました。
海外ホテルで学んだこと
今回の出来事で学んだのは、貴重品とパスポート、上着だけはすぐ持ち出せるようにしておくということ。海外のホテルでは日本のように放送アナウンスがないことも多く、自分たちで判断して行動する必要があります。「英語は最低限話せた方がいい!」と痛感した夜でもありました。そして思ったのは、AI機能を使って多言語で避難案内が出せるシステムを作って導入してほしい!AIが問題をいち早く発見して、宿泊者に適切な行動を部屋ごとに出せれば(宿泊者に合わせて言語も設定)きっと今後の海外旅の安心感がまったく違うはずです。
こうして波乱含みのモン・サン・ミッシェル日帰り旅は終了。疲れたけど、家族で一生忘れられない思い出になりました。